歯科医院の経営の参謀として20年ほど活動し、過去100医院ほどの歯科医院を支援してきました高野です。
歯科医院の院長先生のご相談の中で、多いのは増患対策です。
歯科医院経営を継続させるためには一定数の新患を確保しなくてはなりません。既存患者数が多くなると歯科医院としては忙しく、新患予約枠もなくなります。しかし、新患を一定数確保しなくては長期的に経営維持が厳しい。なお、1カ月で、チェア1台あたり8人から10人が新患数目標の目安です。
では新患が確保できない歯科クリニックはどんなクリニックでしょうか?
歯科医院のHPがかっこいいなどもあるのですが、院長の魅力を高めないと新患確保は続かないですね。HPで見た歯科医師である院長先生像と実物が大きく違うと患者さんは絶望してしまいます。患者さんにしっかり向き合える院長であってください。
ネットとリアルの差が大きいクリニックが増えていると思うのは私だけでしょうか。
歯科医院に関連した仕事をしていると、周囲の人から「良い歯科医院はないですか?」とよく聞かれます。
家族や、仕事上の知人、プライベートでも歯科医院を紹介してと聞かれます。こちらも身近な人には最適な歯科医院に行ってほしいので、自分の知識を総動員して最適な医院を紹介するのですが、責任が生じるので精神的には苦しいです。
良い歯科医院を聞かれるということは、自分に最適な歯科医院選びに不安を感じている人が多いのです。
私のようなよく知っていそうな人がいない場合、どうやって探すのかといえば、当然インターネットです。
少し前であれば、周辺の人にどこに行っているのかを聞き、口コミで来院する人も多かったのですが、今はインターネットからの来院が圧倒的。
歯科を探す人が多いのであれば、インターネット集客に多額のお金をかける院長が多いのは当然ですね。
歯科医院ごとに差はありますが、新患来院動線は50%以上がインターネット経由。ほぼ100%インターネットというクリニックもあります。インターネットマーケティングは必須。では、どのような手法があるのでしょうか?
一例を挙げると
・PPC広告
・SEO対策
・MEO
・リターゲティング
・SNSマーケティング
・アフェリエイト などなど
数多くの手法があります。
PPC広告に関しては、20年以上前から対策は盛んです。
例えば「インプラント」というキーワードで、ワンクリックに数万円(記憶の中では7万円くらい)をかけて患者を集めていたという時代もあります。最高ワンクリック18万円という金額でPPC広告が運用されていました。
Google広告を中心としたPPC広告は様々な広告手法があり、リターゲティングなども含まれます。
リターゲティング手法は一度サイトに訪問した人に対して、他のサイトを見た時に自分たちの広告を引き続き表示される手法です。ずっと追いかけられる感じなので嫌がる人もいますが、何度も広告表示されることで刷り込みがされます。
有料広告だけではなく、サイト構成などにより検索キーワード上位に上げるSEO手法を盛り込んだホームページも増えました。SEOはGoogleのアルゴリズムの変化により、常に上下するため、定期的なサイトの更新、継続的なページ数改修を行う必要があります。
SEO手法についての詳細は割愛しますが、ページ数を増やす、キーワードを増やすことで検索上位に上がっていきます。
インターネットマーケティングではまずアクセス数を確保することがスタートです。
そのために様々な広告手法があるのですが、基本として、サイトに辿り付いた人の歯科医院選びの不安を取り除くことが重要です。院長、経営者としては、自分のサイトを常に見直す癖をつけてください。作りっぱなしはダメです。
インターネットで自分のクリニックのサイトにどのように辿り付いているでしょうか?
歯科医院への訪問ルートとして検索行為が多いと思いますが、「インプラント」などのキーワードでGoogle検索をすると、検索結果の上部に多くの歯科クリニックのサイトが紹介されます。
それぞれ小さな文字で「広告」と記載されていますが、これはPPC広告という有料広告なのです。このPPC広告を使い、LP(ランディングページ:Landing Page)を見てもらい来院してもらうという流れが、今のインターネットマーケティングの主流です。
インターネット上、特定のサイトに最初に訪問したページをランディング(着陸)するという言い方をします。
インターネット広告、検索エンジン、SNSなどからクリックされて、ユーザーが最初にアクセスするページがLPです。マーケティング上では、商品購入や資料請求、予約など、ユーザーに特定のアクションに繋げます。
既にLPを導入しているクリニックも多いですので、そのような歯科医院の院長先生は復習するつもりで以下の内容を読んでください。
まだLP導入していない院長先生はこの機会に学んでいただき、対策をご検討ください。
LP導入した歯科医院では以下のような感じでした。
【A歯科医院 地方都市クリニック】
地方都市のA歯科医院の院長先生(40代)は、マウスピース矯正がこれから患者さんに支持されるとして、マウスピース矯正のスタートを決意。
有料の研修も受け、院内のポスターやHPでマウスピース矯正をスタートしたと掲載。
毎月の新患数が30名ほどのクリニックで、来院理由はHPを見たという方が8割ほど。
院長としては、HP掲載したことで、どんどん患者さんが来ると、期待していました。
結果は、6カ月間で、毎月の治療実績は平均0.8人。しかも、既存の患者さんがマウスピース矯正を始めただけの結果でした。
売上は多少伸びたものの、満足できていません。院長先生としては毎月5人の治療を始められると期待していたのですが、全く届きません。院長もこのままではまずいと考え、WEBマーケティングを見直しへ。
LP対策を実施しようと70万円ほどの予算で、LP制作・Google広告を実施。
結果は、実施後の6カ月で平均6.8人が治療スタート。
上々のスタートを切ったのです。
その後も平均5人は成約しており業績は安定しています。
他にもLP導入で急激に業績を伸ばしている歯科医院は多く、自費診療の売上高が300%になり年間医業収入が1億円を突破したクリニックもあります。
では、共通する成功の秘訣は何か?
それは、何を薦めるのか、誰を対象にしてのかがはっきりしているかどうかです。
・どんな治療をしてもらうのかを、一つに絞ること
・来院してもらう患者さんを具体的に設定すること
普通の歯科クリニックのHPのように色々な治療をやっていますという内容は刺さりません。
ただ、歯科医院の院長は、一つに絞ることができない方が多いのです。
インプラント用のLPの打ち合わせをしていると、矯正もやっているし、補綴も伝えたい、義歯も大事と、どんどんやっていることをご説明いただくのですが、マーケティング上は一つに絞らないといけません。打ち合わせが終わらず困ります。歯科医師としてのプライドなのでしょうか?
クリニックのHPは別に作ることになりますので、LPでは一つの治療についてだけを伝える。
これが大事。
また、一つの治療に絞るためには、現状把握は必須。
インプラントをやりたいという気持ちだけでは成功しません。
その治療を行う余力が今のクリニックにあるのかどうか、スタッフからの支援を受けられる状況なのかなど、確認しないといけないことは多々あります。
院長だけが突っ走っている歯科医院は成功しないのです。
さて、LPの見た目の違いとしては、ページが1ページで縦スクロールで上下で最後までサイトを見れるということが一番大きいでしょうか?
通常のサイトは、サイト内リンクをクリックし、サイトの奥まで誘導していくように設計しますが、LPの場合は特定の目的を果たすために1ページで完結させます。
1ページですので、伝えられるメッセージは一つ。
インプラント治療をするクリニックを探している、マウスピース矯正を探している、義歯を探している、子供に良い小児歯科を探しているなど、一つに絞ります。
LPで多くの治療法を伝えようとしているケースでは成約率が上がらず、収益向上ができません。
では、どのようなLPがいいのでしょうか?
まず、来院する患者さんがどんな人なのかを決める必要があります。自身の歯科医院として来院していただきたい対象を詳細に決めていきます。これはペルソナの設定と呼ばれるもので、例として以下の例を見てください。
例)インプラント 健康志向のシニア男性
● 基本情報
年齢:62
性別:男性
職業:定年退職済、知り合いの企業で顧問契約
居住地:東京都内の持ち家(妻と2人暮らし)
● 特徴・価値観
抜歯をした際に義歯を薦められインプラントも検討
「自分の歯のように噛める治療」を希望
多少の費用は気にせず、「信頼できる医師」に任せたい
医療保険ではなく「自費でも質重視」で検討
● 行動パターン
Googleで「インプラント 東京 評判」などで検索
家族にも相談してから予約
パンフレット・症例写真・医師経歴をじっくり見る
このように患者さんの詳しい情報を設定していくことがスタートです。
上記の場合、男性向けのサイトになりますので重厚なイメージで院長の経歴やクリニックとしての実績を記載します。
費用よりも信頼や安心を求めているので、説明を詳しく記載し、総合病院との提携関係などを記載することで、患者さんのニーズに応える信頼性の高いクリニックとインプットされます。
他の例として、10代向けにマウスピース矯正を訴求する場合、以下のようなペルソナの設定を行います。
例)マウスピース矯正 中高生・親子
● 子ども(患者本人)の情報
年齢:16歳(高校2年生)
性別:女性
学校:都内の私立高校
性格:おしゃれ・友達との写真やSNS投稿が好き
コンプレックス:前歯の歯並び 笑うときに手で口を隠してしまう
ニーズ:目立たず矯正したい 学校でもバレたくない
行動パターン:InstagramやTikTokで矯正体験を検索、レビュー重視
● 保護者(意思決定者:母親)の情報
年齢:45歳
職業:パート主婦
家族構成:夫(会社員)、子2人(中高生)
ニーズ:子どもが痛がらない、見た目に抵抗がない治療
信頼できる歯科医院で、価格が明確であること
通学・通勤ルートにある歯科が理想
医療費控除の対象かどうかも気になる
このような未成年ですと保護者の意思決定は大きく、ペルソナでも親子で設定します。
子育て真っただ中のお母さんを説得するためには費用の問題は大きく、この点はできるだけわかりやすく明確な記載します。
イメージとしては、可愛さや温かさが感じられるパステル調の色彩で、イラストを多めでしょうか。女子高生が好みそうで、あまり軽すぎず、クリニック自体は信頼できるような作りにします。
このようにLPを作成し、患者さんに来院してもらいます。
目的来院性の高い患者層へのアプローチですので、他の歯科医院の真似ではなく、自分たちのクリニックの既存患者層を分析し、今までの治療実績や、今後症例を増やしたい治療内容を明確にして作成してください。
これで成約率が上がります。
院長としては、LPを最初から最後までご自身で作るということはないと思いますが、うまくWEB制作会社などと打ち合わせをしてLPを作ってください。
以下にチェックリストを作りました。
見た目
□ペルソナに合致したイメージかどうか
□医院名・治療メニュー(例:ホワイトニング、インプラント)が明確に記載
□院内・医師の写真を掲載し、「安心感」が伝わるビジュアルへ
□「今すぐ予約」「無料相談受付中」など次のアクションが取りやすい
安心・信頼を与えるコンテンツ
□医師・院長の写真と経歴、専門性(例:インプラント認定医)の掲載
□院内設備や衛生管理に関する情報
□症例写真(ビフォーアフター)や治療実績の掲載 ※
□治療費用が明確に書かれている(特に自由診療)
※症例写真の掲載は広告規制の対象となります。限定解除対象にするためには治療内容の説明、かかった期間、かかった費用、副作用やリスクなどの詳細な説明などを記載する必要があります。
来院のハードルを下げる情報
□「初診カウンセリング無料」「無料相談」などの新患対応
□アクセス方法(地図、駅からの道順)の記載
□駐車場や診療時間、休診日などの記載
□小児歯科やバリアフリー対応など、特定ニーズへの配慮
□スマホでの見やすさ・操作性(タップしやすさ、スクロールしやすさ)
予約・問い合わせ導線
□予約フォームは「名前・電話番号・希望日時」など最小限の入力
□電話予約ボタンがスマホでも押しやすい位置に設置されている
□LINE予約やWeb予約の対応、および誘導
□予約完了後の自動返信・サンクスページの誘導など
コンテンツ構成
□医院としての強みが伝わるように
□治療の流れが「STEP形式」でわかりやすく説明
□よくある質問(FAQ)の用意
□他院との違いや医院のこだわり(例:痛みへの配慮、丁寧な説明)の記載
信頼性・法的表記
□医院名、住所、電話番号などの基本情報がフッター等に記載
□プライバシーポリシーが明示されている(特に予約フォーム利用時)
□医療広告ガイドラインを遵守している(広告規制に対応)
WEB広告を使うために、医療業界では広告規制という大きなハードルがあります。
症例写真は掲載できないわけではないのですが、原則禁止です。掲載可能な条件をクリアしてください。
症例写真がないLPも多数ありますので、必須ではないです。
そしてLPの最大の目的は来院予約を取ること。
予約を行うのは、WEB上なのか電話なのかなどによっても新患数が変化しますので、この点は注意が必要です。
電話だけで対応している歯科クリニックは、WEB予約を検討してください。
予約はWEB上の方が増加します。
24時間予約可能ですし、電話するという行為は若者を中心に嫌がられています。
できるだけWEB上で完結することを目指してください。予約変更もWEB上で行いたいという層は増加しています。
また、新規予約に誘導するボタンは複数設置すること。
サイトの前半を読んだだけで来院予約をする人もいますし、最後まで読み切って予約をする人もいます。サイトから離脱させないように予約への誘導ボタンは複数設置が必須です。
この点も踏まえ、LP対策を検討していただければと思います。